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ケーススタディ

CASE STUDY

職場意識改革

ケーススタディ-3 :部下のモチベーションアップとパフォーマンスを最大化させる 〜ヒントは「マニュアル」ではなく「スッタフの考え方や価値観」にあった〜

ケーススタディはコーチングが効果を発揮した事を、事例をもってご紹介する目的で作成いたしました。守秘義務を遵守するために匿名はもちろんのこと、コーチングの背景、テーマ、プロセスなどは最小限の範囲でシンプルに記していますが、実際のオリエンテーション、プレコーチング、コーチングセッションは、クライアントの人としての、人生の夢、価値観、達成感、懸念、葛藤などが共有され、コーチもこれら真摯に対峙し、対話を進めることでコーチングを進めております。

コーチングの目的:

職場(店舗)の意識改革

コーチングのメインテーマ:

新任店長として着任した職場メンバーのモチベーションを上げ、任された店舗のビジネスパフォーマンスを上げること。

クライアント:
新任の店長。

《コーチングを依頼された背景》

Nさんは、全国に店舗展開する嗜好品小売業の新任店長として都下の店舗に着任しました。
入社8年目で店長昇格は比較的早いが、熱心な働きぶりが認められての結果です。
そのため、ご本人のモチベーションは相当高い反面、不安や心配が尽きません。
具体的には、管下の4名のスタッフが自分の期待通りに動いてくれていないように思えて、店舗を任されたチームリーダーとして自信喪失しそうな気もするとのこと。
コーチングを受けることによって、このモヤモヤした状態から脱して店舗の売上を伸ばせるようなエネルギーを取り戻りたい、というのがコーチングへの期待でした。

《オリエンテーションで伺えたこと》

コーチングを開始するにあたって実施する「オリエンテーション」で現在の状況を伺うと、次の様なお話でした。

  • 先輩、上司から多くを学び、店舗を運営するための基本知識やスタッフとしての経験は多く積んできたつもりである。
  • 加えて社内で、初級管理職研修など、マネジメント研修も数回受け、管理職の基本セオリーも修得してきた。
  • 店舗運営の成功にとって何が重要か理解しているつもり。例えば、
    嗜好品なので商品知識の優劣が販売実績に繋がる。
    お客様の顔と好みを覚え、それぞれに適した会話し、お店のファンを作ること、など。
  • 自分は商品知識と接客スキルには自信がある。
  • 商品についての知識レベルや接客技術が稚拙なスタッフに苛立つことが多い。
  • メンバーへの改善指示は日々実施している。
  • 週に一度のOne on Oneミーティングで細かい指導もしている。

それでもスタッフが思うように動かないのは何故だろう?という疑問。
それによって、自分を責めるような形になる前に(そうはなりたくない、と)コーチングで新たな視点を得たい。

以上がオリエンテーションでコーチが理解した現状です。

《コーチングセッションでの質問によって生まれた新たな視点》

視点を変えたいと思うクライアントに対しては「質問」が有効です。

例えば、コーチングセッションで尋ねた質問は?

  • 店長として、あなたが目指すゴールは何ですか?
  • そのゴールは、あなたにとって何故大切なのですか?
  • スタッフの方は何故そこで働いているのですか?(給料を得るため、以外で)
  • One On Oneミーティングでお話している内容とスタッフの反応、そしてそれらを振り返ってどう思ったか?
    等々でした。

Nさんにとって「自分が設定しているゴール(ビジネス成果)が何故大切か?」などと訊かれたことはないので、面食らったそうです。店舗を任されているマネージャーなのだから当然ではないか、と。
しかし、質問への回答で自分の考えを言語化していくうちに様々な新しい視点が芽生えました。
特に深く考えてしまったことは、次の2点だったそうです。
「スタッフは何を大切にして毎日この店で働いているのか?」
「スタッフの成長のために自分は管理職としてどのような支援ができるのだろう?」

商品知識も抜群、接客経験も豊富という自信が、スタッフに対して、「私の言う通りにやっていれば間違いない」という一方的なコミュニケーションという形で表れていたようです。
スタッフの育成を目的としてセットしたはずの週間One On Oneミーティングも、振り返ってみると自分が確認したいことを細かくスタッフに確認して自分が安心するための時間だったことに気づきます。

《スタッフとの信頼関係をつくることを第一優先にして行動を変える》

早速Nさんは「気づき」に基づいて 先ず、One On Oneミーティングの内容を変えていきます。
業務視点の細かいチェックではなく、1対1の心理的安全性が担保された場所であることを説明した上で、スタッフが一人の人間として、社会人として、一家の主として、どの様に仕事に向き合っているか?について、真摯に耳を傾けたのです。

  • 仕事をする上で何を大切にしているか?
  • 仕事をしていて嬉しいことは何か?
  • 自分の強味ななんだと思うか?
  • どの様に自分を成長させていきたいか?
    等々、

売上報告は2の次にして、スタッフの考えや価値観などを徹底的に知ることにしたのです。

Nさんが発見したことは、

  • スタッフ4名は皆、この商品が好きでこの会社に入ったということ。
  • 商品知識は全ジャンルについて完璧ではないことは認識しているが、個々のお客さんの好みは十分理解していること。
  • 仕事をしていて嬉しい、楽しいと感じるのはお客さんとの会話。
  • 主商材ではないが、併売されることが多い副商材については、Nさんを超える豊富な知識を持っているスタッフもいる。
  • スタッフ4人はとても仲が良く、色々な場面で助け合っていることが多い。

ということ。

そして、個々人が考える成長領域としては、商品知識をより深めたい。マネジメントについて勉強を始めたい。外国人のお客様への対応ができる様になりたい。経理や会社の数字に強くなりたい。など、少々遠慮気味ながらも楽しそうに語ってくれたそうです。

Nさんが理想と考えていた「嗜好品を売る専門店としてのミッション」は、豊富な商品知識をもってお客さんの期待や質問に応じられること。つまり、「さぁ、いらっしゃい。最高の商品をお選び頂けるようにプロがお手伝いしますよ。」というものでした。
そして、この方針をスタッフに徹底、指導することが店舗の売上を伸ばす成功の鍵だと思っていたNさんにとって、バージョンアップしたOne On Oneミーティングが新たな気づきを与えてくれました。

かつては店頭に並ぶ全ての商品知識の修得を闇雲に求められていたスタッフは、先ずは自分が好きな商品を何点かあげ、何故それが好きなのか?を言語化することを奨励され、接客の自信につながりました。自分の好みを説明しながら、お客様の好みを聞いていく、新しい接客方法のスタートです。
すると、スタッフにとって今まで教科書的に頭に入れることを求められて商品知識が、自分の好きな商品を糸口として他の商品知識へと広がり、総合的な商品知識の修得へのスピードと深みが増したことを確信できたそうです。
商品知識がなくては仕事が出来ない、評価されない、という思い込みから解き放たれた結果です。

Nさんは、スタッフの考えと価値観を尊重し、店舗のイメージや接客の方針を大きく変えていきました。

コーチングへの評価 ~ ご依頼人からのフィードバック

コーチングは様々な気づきを与えてくれる機会となりましたが、決して私が今までやってきたこと、信条にしていることが否定されたわけではありません。それが重要なポイントだと思います。
私の信条は、「店舗経営のカギは、豊富な商品知識と丁寧な接客で固定客を作る。客単価を上げる。」ということで、この考え方は不変ですし、スタッフに対してもこの考えを徹底しています。
しかし、いかに正論であっても、それだけで人が動くわけではない。頭でわかっていても行動に反映できなかった自分を見つめなおす機会と具体的な行動変容を、コーチングがもたらしてくれたと思います。端的に言えば、駆け出しマネージャーの肩の力を抜いてくれた(抜いたのは自分ですが(笑))ということでしょうか。

未だ道半ばですが、自分が愛する商品の素晴らしさを語る楽しさ、買ったお客さんにも喜んでもらえた嬉しさ、を糧としてスタッフが生き生きと働く店舗になってきていると思います。それはご来店するお客様へも伝わっているはずですし、お店のファン増加に繋がるものと信じています。
もちろんビジネスですから売上が伸びなければ意味がないので、コーチングで学んだP/PCバランス(結果目標と成長目標のバランス)を常に頭に入れて良い店舗運営を続けていきたいと思います。

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