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安藤秀樹公式ブログ『学びと成長の機会を掴もう!』

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勝海舟は次郎長の何に感服したのだろう?

待ちに待った春到来の足音を心の底から喜べないのも、
罪もない人々が惨禍にさらされる姿が様々なメディアから
毎日目に飛び込んでくるからでしょう。

自分に出来る支援をしながら、一日も早い停戦を願うばかりです。

そんな中、皆さまに御礼と共にお伝えしたいニュースがあります。

拙著、『ニッポンIT株式会社』がAmazon Kindle本の
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瞬間風速のこととはいえ、ひとえに皆さまのご支援の賜物と
感謝しております。ありがとうございます!

さて、公式メルマガ第2号のトピックは、組織における「親分」の心得です。

~~勝海舟から清水次郎長への問い~~

幕末から維新にかけての、勝海舟と清水次郎長との間に縁が
あったことは色々紹介されていますが、こんな話が有名です。
勝海舟が尋ねたそうです。

「次郎長さんよ。あんたは3,000人の子分を抱える街道一の大親分だ。
ところで、そのうちの何人が親分のあんたに命を捧げると思っているだろうねぇ?」と。
(忠誠心を数値化してみたかったのでしょうか?ちょっと意地悪な質問ですね。)

次郎長、答えて曰く、
「勝先生。3,000人の子分のうち、誰一人として、この次郎長に
命を捧げようなんて思っちゃいませんぜ。」

そして続けます。
「でもねぇ勝先生、この次郎長、どの子分一人にでも、この命を捨てる
覚悟はありますぜ。」と。
勝海舟は「流石は街道一の親分だ」と感服したと。

この次郎長のセリフ「どの子分一人にでも・・」というところ、泣かせますね。
子分への限りない情愛。いやぁ~カッコいい。

勝海舟もこの台詞に感服したのだと、逸話は紹介されています。
私もこれに心を動かされました。
「子分に対して分け隔てなく義理と情を注ぐ」ということに。

~~次郎長の言葉の本当に凄いところ~~

ところが、ちょっと別の視点で見てみると清水次郎長の親分としての凄さは、
前半のセリフにあるのではないか?とも思えてくるのです。

つまり、「子分のうち、誰ひとりとして自分には命まで捧げようなんて
思っちゃいない。」と冷静に判断しているところ。

任侠の世界で、親分子分の契(ちぎり)をベースに、子分は親分を
実の親の様に思い、神の様にまつり上げられている。
しかし、現実的には命まで捧げるなんて綺麗ごとはなく、
そこには暗黙の距離感があると。
それを承知の上での親分子分の関係なのだ、と。

もし次郎長が、
「勝先生、よくぞ聞いてくださった!
次郎長の28人衆と呼ばれている子分は間違いなく次郎長と命を
共にしてくれますぜ。」
などと言ったら、勝海舟は心を動かされたでしょうか?

「子分は親分を、思ったよりもずっと冷静に見ている」ということを、
次郎長が理解しているからこそ、前半のセリフがあったのではないでしょうか。

~~組織の中に必ずいる「親分」~~

ある程度の大きな組織には、「親分」とか「親分肌」と称される方がいます。
共通して「面倒見の良さ」や「義理人情の厚さ」があります。
その人望によって自ずから人が集まってきます。

しかし、その「親分」というブランドを自らが意識し、大切にしてくると、
「いつも部下の忠誠心を確認したくなる」「我が意に従わない部下を疎んじる」
「忠誠心を表に出す部下は可愛い。面倒をみてやりたい。」

そして可愛い部下たちの親分として、「面倒を見てやった」「世話をしてやった」と、
子分(部下)からの見返り(忠誠や服従)を求める気持ちが無意識にも
湧いてくるかもしれません。

組織に派閥が生まれたり、ポリティカルな文化が生まれてくる一因です。
つまり、「何が正しいか?」よりも「誰が正しいか?」で動く組織に堕ちていく
ということです。

善し悪しの判断が「人」に依存するわけですから、親分のためと思い、
コンプライアンス違反さえも起こりかねません。
(池井戸潤の小説の世界ですね~)

こうした組織文化を、上の立場の人間が作ってはいけません。

この様な親分は、自分が転職の意を公表した時に、
部下たちはショックで涙にくれ、
「○○リーダーのいない職場なんて考えられません。
私も連れてってください。」なんて言い出す部下も出てきやしないか?
と妄想しがちです。心配には及びません。ゼロだと思ったほうがよいです。

「安藤さん、そりゃ外資系でしか働いてこなかったあなたの偏見だよ。
あんたは情をもって上司と付き合ったことが無いからだよ。」
なんて声が聞こえてきそうです。

しかし私は常に、尊敬すべき上司への敬意や会社への恩を
忘れたことはないと思っています。また一緒に働く部下、チームメンバーとも
人の情厚く交流させて頂きました。

かといって、盲目的に上司の方針を是としたり、会社に魂まで捧げるようなことは
してきませんでした。またそれを部下に求める様なこともしませんでした。
それが、自分が持っていた「健全な距離感」なのだと思います。

~~親分の心得~~

組織の中に「親分」がいることは決して悪いことではありません。
しかし、親分が考え方を誤ると組織文化に悪影響を与えることを
知っておくことは大切です。

部下の成長のために全力を尽くす。成長を喜ぶ。
情熱をもって、時に厳しく指導する。部下の立場を守る。
チームの成果に向けて部下の士気を高めるためにあらゆる手を尽くす。
可愛い子分(部下)たちに愛情と尊敬を持って接する。

That’s all.  「親分」の役割はそれだけでよいのではないでしょうか?

「面倒みてやったから」「育ててやったから」という意識の下で
忠誠や服従を求める気持ちが頭をもたげたら、
次郎長の言葉を思い出してみてください。

清水次郎長は明治維新の後、地元の清水港を改修したり、
開墾や私塾をもって英語教育に尽力するなど、実業家として
目覚ましい活躍をし、明治26年(1893)に逝去しました。

次郎長が任侠の世界で身を立てた上に、実業家としても活躍して
こられたのも、この「人間関係を冷静に見て、自分の役割に徹する」
という考え方があったからだと、これは私の勝手ながら、思ってしまうのです。

今日のお話はここまでです。

またまた長くなりましたが、ここまでお読み頂きありがとうございます。

また来週をお楽しみに。

それでは良い週末をお過ごしください。

安藤秀樹
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発行者:株式会社ドリームパイプライン
代表 安藤秀樹

公式ホームページ: https://dreampipeline.com
お問い合わせ先:hideki.ando@dreampl.com

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