「調子が悪そうだな」
「何か心配事があるのかもしれない」
日々、選手や生徒の様子を見ていて、ふとそんな違和感を覚えたことはありませんか?スポーツ指導者として大切なのは、技術や戦略の指導だけでなく、「心の変化」に気づき、必要なときにしっかりと話を聴けることです。
今回は、選手との信頼関係を築くためのコーチングスキルのひとつ、「傾聴」についてお伝えします。
傾聴とは、選手の「本音」を引き出す力
傾聴とは、ただ黙って話を聞くことではありません。
選手の言葉の裏にある気持ちや、言葉にならない想いに耳を傾ける──
それが本当の「聴く力」です。
たとえば、
「最近、集中できていない気がして……」
という一言の裏には、
チームでの関係性や、試合への不安、進路への悩みなど、さまざまな背景が隠れているかもしれません。
こうした声を丁寧に受け取れるかどうかが、指導者としての信頼感を左右します。
傾聴に大切な3つのポイント
① 安心して話せる「場」をつくる
話の中身以上に大切なのは「安心感」です。
場所選びや、話しかけ方、座る角度や姿勢など、小さな気配りが相手の心を開きます。
たとえば、
・圧迫感のない静かな場所で話す
・対面ではなく斜めの位置に座る
・スマホや腕組みを避け、目線と姿勢で「聴く姿勢」を伝える
こうした配慮が、選手に「ちゃんと聴いてもらえている」と感じさせる第一歩になります。
② 「聴いてるよ」をちゃんと伝える
あいづちやうなずき、繰り返し、要約などのリアクションは、聴いている姿勢を伝えるシンプルで効果的な方法です。
「それは大変だったね」
「つまり、こういうことかな?」
「もう少し詳しく聞かせてもらっていい?」
こうした言葉かけは、選手にとって「自分の話を大切にしてくれている」という安心感につながります。
最初はぎこちなく感じても、意識して続けることで、自然なコミュニケーションに変わっていきます。
③ 自分の解釈をいったん手放す
人はどうしても、自分の経験や価値観で話を「解釈」してしまいがちです。
たとえば、
「後輩が言うことを聞かなくて困る」という相談に、すぐ「指導方法に問題があるのでは?」と結論づけてしまうのは危険信号。
本当に必要なのは、「この子は今、何に困っているんだろう?」と、相手の視点で想像してみること。
アドバイスはその後でも十分間に合います。
まずは「共感」から入る。これが聴く構え=傾聴の土台になります。
傾聴のその先にあるもの
「聴くこと」はゴールではありません。
相手の本音を引き出し、信頼関係を築いたうえで、
- 適切なアドバイスを届ける
- 考える力を育てる問いかけをする
- 自ら成長しようとする力を引き出す
そんなコミュニケーションに繋がっていくのです。
スポーツ現場でもっと「コーチング技術」を活かしたいあなたへ
このブログでは「傾聴」という、ひとつのコーチング技術をご紹介いたしましたが、他にも様々なコーチング技術がスポーツ指導の世界でも有効であることが実証されています。
とはいえ、実際の現場はチームの人数、文化、競技特性によって状況はさまざま。
「自分のチームならどう取り入れたらいい?」という疑問が出てきた方もいるかもしれません。
もっと実践的に、あなたの現場に合わせてコーチングを活用してみたいと感じたら、ぜひ一度ご相談ください。
あなたのチームがさらに成長するためのヒントをスポーツ指導者向けコーチングを用いてご提案します。ご要望に応じて、チームスタッフの方々(技術コーチ、トレーナー、栄養士、寮長、など)と一緒にグループコーチングを実施する場合もございます。
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